海とコーヒーの出会い 鹿園 春号No,149

海とコーヒーの出会い

海辺から広がる無限の海。その先に漂う小さな貨物船。手に持ったコーヒーカップから広がるほんのり甘い香りが、さらに穏やかな瞬間を演出してくれていた。

リフレッシュを求め、車を走らせ房総半島へ向かう。いつものように変わらぬ景色が広がり、トンネルを抜けると、空と海が一体になった風景が広がった。まだまだ風が冷たい季節だが、窓を開けて冬のにおいを感じながらのドライブは気持ちい良かった。車の流れも穏やかで、自然と調和するような心地よい日差しが広がっていた。口ずさむ鼻歌とともに「一息入れようかな…」と思っていたところ、偶然に目に留まったコーヒーの看板に誘われ、店に入った。

席に着くと、大きな窓があり、そこから見えるのは広がる海。私以外に人はおらず、独り占めできる静かな時間。「いらっしゃい」とカウンターの向こうでマスターが迎えてくれた。彼のおすすめはアワビカレーとピザ。コーヒーだけでは申し訳なく、ピザも一緒に注文してしまう。待ちながらマスターの話を聞くと、若いころ洋食仕事をしていたとのこと。定年後、海が見える場所での生活を夢見てばう宋半島に移住してきたそうだ。住まいと別に廃墟になるかもしれないと手に入れた家は、ただの空き家ではなく、手入れされた立派な古民家だった。マスターは笑顔で家の写真を見せ、「ここにはドラム缶の風呂も置くんだ」と無邪気に言った。この家を人が集まり楽しむ場所にしたいという思いが伝わってきた。「ほぉー」「へぇー」「素晴らしいですね」、私の期待以上のリアクションに、マスターはさらに笑顔で話をしてくれた。

冷めかけたピザを頬張りながら、マスターに次回の訪問を約束し、店を後にした。

房総半島の静寂な風景と、そこにたたずむ素敵なお店での出会いが心に残る思い出となった。

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