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鹿園ろくおん(寄稿)

  • 2021年3月28日

ほうき (鹿野山 鹿園ろくおん春号143号)

ほうき 青い空が広がり、その青が差し込む和室。ザッザという音と共に、細かなほこりをちり取りですくいあげたら、固く絞った雑巾で拭きすすめる。ほんのり畳の香りが広がって、気持ちまでウキウキしてくる。 ◇ 一人で生活していた頃のこと、掃除機洗濯機とたて続き […]

  • 2021年3月28日

夕やけ (鹿野山 鹿園ろくおん秋号134号)

夕やけ 窓の外は、一面のオレンジ色。夕日の赤と雲のピンクと、いくつもの筋となった黄色は、夜の深いブルーに変わりつつある。 ◇ 空を眺めるのは久しぶり。しばらく見とれていると、遠くからメロディーが流れてきた。中村雨紅の「夕焼け小焼け」だ。曲を吸い込みな […]

  • 2021年3月28日

母の手 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号136号)

母の手 最近、血管が浮き出た手の甲を見ては母を思い出すようになっていた。夏真っ盛りのバス停には、 日焼けした黒い腕の女の子と日傘を差した母親が立っている。この光景は私と母の夏の思い出を蘇らせる。 ◇ ごはんもおやつも作ってくれた魔法の手。食べれば皆美 […]

  • 2021年3月18日

雨 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号№142)

雨 窓の外に目をやると、木々は揺れ、激しい雨が降っている。置き去りにされたバケツは水がいっぱいになっている。 ◇ 大雨になると、天井裏は、大丈夫かなと思う。小学生になったばかりの頃、台風で雨が続いたことがある。雨漏りに気づいた父は、押し入れの天井を開 […]

  • 2021年3月18日

菜の花 (鹿野山 鹿園ろくおん春号135号)

菜の花 殺風景だった街に、日差しが暖かくなる頃、色づきはじめた草花。   小さな花が集まり黄色い彩りを添えてくれる菜の花。昨日つぼみだった花が開き、太陽を浴びながら風に揺れている。 ◇ 菜の花畑の中でかくれんぼして、青臭い匂いに堪えられず見つかってし […]

  • 2021年3月18日

小さな夢 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号№140)

小さな夢 フライパンの上のクリーム色の生地に、小さな穴がフツフツとあいてきた。フライ返しでサッとひっくり返せば「ぱふっ」と美味しそうな音を立てて、香ばしい匂いが広がっていく。テーブルの向こうでは、言葉を覚えはじめた姪っ子が、目をまん丸くして座っている […]

  • 2021年3月16日

あたたかな日差しの中で(鹿野山 鹿園ろくおん春号№141)

[あたたかな日差しの中で] あたたかな日差しの中で、ゆっくりとアルバムを開いた。その中に羊の群れの中、ワンピース姿で右手を上げて笑っている一枚がある。花が好きな母は、暖かくなると牧場へ連れて行ってくれた。色とりどりの花が一面に広がり、母も私もウキウキ […]

  • 2021年3月16日

おべんとう (鹿野山 鹿園ろくおん春号137号)

おべんとう あたたかくなってくると、公園でシートを広げている子供たちを見かけるようになる。男の子たちはおにぎりを手に走り、女の子たちはかわいらしい笑顔が並んでいる。青空の下では、普段と違う味がするのだろう。 ◇ 幼稚園の初めての遠足を思い出す。40分 […]

  • 2019年3月25日

春の思い出 (鹿園春号139号)

[春の思い出] 今年も春の季節がやってくる。 陽だまりの中、まだ片付けていない火鉢の掃除をする。燃え残った炭を手のひらに乗せ、 転がせてみる。かりんとうのようで、白く粉ふいた炭が、いとおしくなる。 ◇ 祖父母が生活していた福島は、5月になると、梅、桜 […]