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鹿園ろくおん(寄稿)

  • 2022年3月26日

豊かな時間 (鹿園ろくおん春号145号)

豊かな時間 2月が過ぎ、冷えて硬くなっていた地面が柔らかくなる頃、はだかだった樹にピンク色のつぼみが開く。小鳥たちは、春の訪れを歌っている。 忙しい日々の中、家で過ごす時間を大切にしている。我が家にテレビはない。おかげで身近にある、いろいろな音を感じ […]

  • 2021年9月15日

サイクリング(鹿野山 鹿園ろくおん秋号138号)

サイクリング 久しぶりに旅に行く気分に似てるかもしれない。数年ぶりに乗り始めた自転車。感覚がすぐには戻らずフラフラして危なっかしい。 ◇ 補助輪なしで乗れるようになったのは、小学3年生になってからだ。それまでは後輪サイドに小さなタイヤを付けて遊びに行 […]

  • 2021年9月1日

コーヒーの景色 (鹿園 秋144号)

  コーヒーの景色 夕陽が斜めに入ると白い塗り立ての壁はオレンジ色に変わる。デコボコしたコテ跡の影が浮かび、外からひぐらしの声が聞こえてくる。 家で過ごす時間が多くなったので、壁紙が剥がれかかった階段のリメイクをすることにした。数年前に扱っ […]

  • 2021年3月28日

ほうき (鹿野山 鹿園ろくおん春号143号)

ほうき 青い空が広がり、その青が差し込む和室。ザッザという音と共に、細かなほこりをちり取りですくいあげたら、固く絞った雑巾で拭きすすめる。ほんのり畳の香りが広がって、気持ちまでウキウキしてくる。 ◇ 一人で生活していた頃のこと、掃除機洗濯機とたて続き […]

  • 2021年3月28日

夕やけ (鹿野山 鹿園ろくおん秋号134号)

夕やけ 窓の外は、一面のオレンジ色。夕日の赤と雲のピンクと、いくつもの筋となった黄色は、夜の深いブルーに変わりつつある。 ◇ 空を眺めるのは久しぶり。しばらく見とれていると、遠くからメロディーが流れてきた。中村雨紅の「夕焼け小焼け」だ。曲を吸い込みな […]

  • 2021年3月28日

母の手 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号136号)

母の手 最近、血管が浮き出た手の甲を見ては母を思い出すようになっていた。夏真っ盛りのバス停には、 日焼けした黒い腕の女の子と日傘を差した母親が立っている。この光景は私と母の夏の思い出を蘇らせる。 ◇ ごはんもおやつも作ってくれた魔法の手。食べれば皆美 […]

  • 2021年3月18日

雨 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号№142)

雨 窓の外に目をやると、木々は揺れ、激しい雨が降っている。置き去りにされたバケツは水がいっぱいになっている。 ◇ 大雨になると、天井裏は、大丈夫かなと思う。小学生になったばかりの頃、台風で雨が続いたことがある。雨漏りに気づいた父は、押し入れの天井を開 […]

  • 2021年3月18日

菜の花 (鹿野山 鹿園ろくおん春号135号)

菜の花 殺風景だった街に、日差しが暖かくなる頃、色づきはじめた草花。   小さな花が集まり黄色い彩りを添えてくれる菜の花。昨日つぼみだった花が開き、太陽を浴びながら風に揺れている。 ◇ 菜の花畑の中でかくれんぼして、青臭い匂いに堪えられず見つかってし […]

  • 2021年3月18日

小さな夢 (鹿野山 鹿園ろくおん秋号№140)

小さな夢 フライパンの上のクリーム色の生地に、小さな穴がフツフツとあいてきた。フライ返しでサッとひっくり返せば「ぱふっ」と美味しそうな音を立てて、香ばしい匂いが広がっていく。テーブルの向こうでは、言葉を覚えはじめた姪っ子が、目をまん丸くして座っている […]

  • 2021年3月16日

あたたかな日差しの中で(鹿野山 鹿園ろくおん春号№141)

[あたたかな日差しの中で] あたたかな日差しの中で、ゆっくりとアルバムを開いた。その中に羊の群れの中、ワンピース姿で右手を上げて笑っている一枚がある。花が好きな母は、暖かくなると牧場へ連れて行ってくれた。色とりどりの花が一面に広がり、母も私もウキウキ […]