サイクリング(鹿野山 鹿園ろくおん秋号138号)

サイクリング

久しぶりに旅に行く気分に似てるかもしれない。数年ぶりに乗り始めた自転車。感覚がすぐには戻らずフラフラして危なっかしい。

補助輪なしで乗れるようになったのは、小学3年生になってからだ。それまでは後輪サイドに小さなタイヤを付けて遊びに行っていたが、だんだん恥ずかしくなった。一緒によく遊んだ従兄と、大人の自転車を借りて2人で練習を始めた。ハンドルを持って立つと背中にサドルがあたる。子供にはサイズが合っていない…。近所の子供たちが集まってくると、大人用でもスイスイ乗り回した。立ち乗りでペダルを踏み、降りるときは、勢い付けて車体を投げ出した。子供は競い合っていると成長する。私も真っ直ぐなら乗れるようになった。調子に乗った私は、家の周りを走りたくなり、広場から飛び出した。風を斬って漕いでいくと、いつも見上げていた木々の枝が手に届きそうだし、青空も近い。ブロック塀の向こう側も覗き込める。世界が違って見えワクワクした。案の定、道角に来たとき、曲がりきれず垣根に突っ込んだ。勢いがよすぎて、身の丈以上の自転車を垣根から引っ張り出す私は、引っかき傷と葉っぱだらけになった。夕暮れ、半べそで帰ったが、それだけでは終わらなかった。断りもなく自転車を持ち出し、遅くまで遊んでいたので、従兄と2人でひどく叱られた。

今の自転車は小型で軽く、扱いやすい。自転車が進化したのか私が大人になったからなのか…。よくあんなに重くて大きなものを乗り回したものだ。あの日の私がこの自転車を見たら、きっと「貸して」と言って乗っていくだろう。

今日の天気も青空が届きそう。どこへ走りに行こうかな。

 

2018年9月

天までとどけ画集・仏様と童子が鯉のぼりに乗っている表紙絵

障子画・墓石画・各種デザイン制作承ります

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