夕やけ

窓の外は、一面のオレンジ色。夕日の赤と雲のピンクと、いくつもの筋となった黄色は、夜の深いブルーに変わりつつある。

空を眺めるのは久しぶり。しばらく見とれていると、遠くからメロディーが流れてきた。中村雨紅の「夕焼け小焼け」だ。曲を吸い込みながら静かにまぶたを閉じれば子供の頃に戻っていた。おてんばだった私は、外で遊んではよく叱られた。川遊びをしてはいけないと言われながらも手製の舟を作ったり、焼き芋を食べたいために焚き火をしたり、スカートを広げ何故だか沢山の落ち葉を集め、ゴルフ場の近くでは使うあてのないボールを拾った。どこまでも飛んで行った凧を巻き取れず一人残された時は寂しかった。それでも不思議なことに、まだ外で遊んでいたい気持ちがあった。  母が迎えに来てくれれば嬉しいが、それよりも「今日はどんなことで叱られるのか」ビクビクした。しかしお腹を空かしていることには勝てず、辺りに漂う夕飯の匂いに誘われて家に向かって歩いた。

「夕焼け小焼け」は、寺のある山の風景と、夕焼け色のコントラストの中に黒い点となったカラス….

そんな色のある懐かしい風景と、よく叱られたほろ苦い思いをよみがえらせる。

今頃、あの頃のみんなはどうしてるのだろうか….。

 

2016年9月

 

天までとどけ画集・仏様と童子が鯉のぼりに乗っている表紙絵

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